「意匠設計」とは、「建築設計」にカテゴライズされる言葉となります。
「建築設計」とは、「意匠設計」「構造設計」「設備設計」の3本の柱で構築されており、建築物が物理的に建築することができ維持できるようにするのが「構造設計」。建物内部で快適に過ごすことができるように必要な設備である光や給排水、空調等の設計をするのが「設備設計」。主に外観や内観等のデザインや間取りを設計するのが「意匠設計」です。
「意匠設計」は、建築設計の中でも視覚的に認識することができるため認知度等も高い設計作業であり、建物の見た目等が決まるため1番難しい作業でもあります。建築を勉強している学生の方々の多くが憧れる分野ですが、ずば抜けたセンスや能力が必要なため「意匠設計」として活躍できる人は一握りと言われています。
また、「意匠設計」を担当するためには、「構造」や「設備」についても熟知していなければなりません。構造や設備を専門とする「構造設計」「設備設計」部門があるのだから必要ないだろうと思われがちですが、意匠設計は、建物の基礎・基盤になるため、構造的に成り立たない建物、設備が入らない建物を設計してしまうと、その時点でその建築物を建てることができません。
そのため、意匠設計の担当者は構造・設備に対しての知識が必要であり、また「構造」「設備」の担当者と打ち合わせをするための知識を最低限持っていなくてはなりません。近年、建築技術の向上により直線だけではなく、曲線を用いた複雑な建築物が多くデザインされています。
このような技術の向上に関しても最先端な知識を持たなければならずアンテナを常に張っておく必要があります。そして、デザインを依頼主に説明するためのコミュニケーション能力・営業力も必要となるため「意匠設計」担当者の能力は多岐に必要となるのです。
華やかな印象を与える「意匠設計」ですが、実際の業務の多くは見積や資料を作成する等の地味な作業が多くなります。1つのプロジェクトのために多くの時間を打ち合わせや事務作業に費やされます。
ラフなデザインだけし、その他のことは部下に任せるという仕事ができるのは巨匠と呼ばれるようなごく一部の有名建築家だけなのです。そのため、「意匠設計」担当者は、コツコツと地味な作業を続けることが出来る人でないと担当することは難しいといえます。
「意匠設計」は華やかな部分だけをフューチャーされることが多く、たくさんの学生たちの憧れの職業でもありますが、1つのプロジェクトに対しての莫大な時間と労力、地道な資料作りが必要となります。コンペの場合には、採用されなければ1円にもならない仕事となる場合もあります。「意匠設計」が出来る人は建築が大好きであることが、まず第一の条件となります。